初デート
しばらく二人は離れなかった。
ぼくは、シートベルトを外し、少しずつ体勢を変え、彼女と一番密着できる体勢を探した。
彼女の膝を枕にして、甘えた。
頭をなでられて、とても照れた。
くすぐったかった。
それからぼくは起き上がり、彼女の方を向いた。
体が、ふわふわと浮かぶような、もしくは、はだかで毛布にくるまったような感覚見舞われ、衝動的に彼女にキスをした。
彼女もぼくも、なんだか恥ずかしくなって、にやけてしまった。
それからぼくは、彼女の横顔に顔を近づけ、耳を愛撫した。
彼女が、少し声を漏らしながら、体をむずむずと動かしているのが、可愛かった。
次は彼女が、ぼくの顔に近づいてきた。
彼女はぼくの耳を愛撫した。
「首を舐めると、気持ちいいんだよ?」
「首?首のどこ?」
首を舐めるとはなにか、そのときのぼくにはわからなかった。
今になっておもうが、彼女のこの発言、昔も今も変わらず積極的ではない彼女にしては、攻めた発言だ。
彼女はぼくの首筋をゆっくりと下から上に愛撫した。
ぼくも彼女と同じように、彼女の首筋をゆっくりと下から上に愛撫した。
1時間くらいは、こうしていたと思う。
ぼくは、次の日のアルバイトのためにも、彼女とさよならをしなければならなかった。
別れはとても惜しかったが、幸せな気持ちで家に帰れた。
家について鏡を見ると、髪がボサボサで若干ニヤついた表情の自分が映っていて、気持ち悪いなと思った。
このことをLINEで彼女に伝えたことを、覚えている。
ぼくらは、クリスマスに、ぼくの家でクリスマスパーティーをする計画を立てていた。
そのための買い物をした。
そしてぼくらは、その日はじめて、外で手を繋いだ。
ぼくは、彼女の細くて長い上品な指が好きだ。
ぼくの手で、彼女の指を包むような形で繋いだ。
ずっとこのまま彼女に触れていたいと思ったが、店内に入る頃には自然と手が離れていた。
お互い、恥ずかしさに負けた。
クリスマスツリーや部屋を飾る品々はもちろん、一人用の食器しか揃っていないぼくの家に、二人で食事ができるよう、お皿やコップを二人でそろえた。
そして、当日が来た。
ぼくはこの日、いつもより早く目が覚めた。彼女は二度寝をしたために、予定より少し遅れてぼくの家にきた。
彼女はこの日、風邪をひいていた。
クリスマスが楽しみで仕方ないから、毎日手洗いうがいをきちんとして、風邪を引かないようにする!と意気込んでいたはずだったんだけど。
絶対に風邪を引かない!と風邪を意識するあまり、風邪にかかってしまったんだろうと思った。
そして僕らは、部屋の飾り付けをし、予め決めておいた料理の材料を買いに、近くのスーパーに歩いて向かった。